疲労回復のバロメータ「乳酸」のメカニズム
アスリートの体調管理に血液中の乳酸濃度が利用されています。筋肉細胞で発生した乳酸が血液中にあふれ出すことで数値が上昇し、乳酸がエネルギー源と再利用されることで濃度が下がるもの。これこそが疲労回復のバロメータである乳酸のメカニズムなのです。
再利用できない乳酸があふれ出す
私たちがどうなると疲労を感じるかは、じつは科学的にほとんど解明されていません。これまでは、とりあえずは「乳酸」という物質が筋肉疲労の程度を示す指標として使われてきました。
乳酸は、筋肉が収縮して力を発揮するときに、筋肉細胞の中で発生する代謝産物の1つ。筋肉が激しく使われるほど、多く発生します。
運動中、この乳酸は糖に分解されてエネルギー源として再利用されるものです。しかし、再利用の効率を上回るスピードで乳酸はどんどん発生。再利用が間に合わない状態になるわけです。それが筋肉細胞の中に蓄積され、そこからあふれ出して血液中に流れ込みます。
乳酸濃度で疲労回復を把握する
このように、筋肉が疲労したわかりやすい変化として乳酸は注目されてきました。筋肉が疲労する原因は科学的に未解明ですが、結果として乳酸が発生することは確かということです。
こうして、多くのスポーツ科学者は乳酸を疲労物質と定義。アスリートの体調管理やトレーニングメニュー作成の指標として幅広く利用してきました。血液中の乳酸濃度を測定すれば、そのときの疲労状態を把握することができるのです。
通常、運動した直後は乳酸濃度が高く、時間が経過するにつれてその値が低下していきます。数値の低下は血液中の乳酸が分解処理されて、エネルギー源として再利用されたということ。すなわち、疲労が回復したことを意味します。
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