遅筋と速筋の両方の性質を備えた中間筋がある
筋肉を構成する筋線維は、遅筋線維と速筋線維に大きく分けられるのはご存じのとおり。遅筋線維は持久力に優れていてスピードに乏しく、速筋線維はスピードやパワーに優れていて持久力に乏しいという性質があります。そんな遅筋と速筋以外にも、両者の性質を備えた中間筋もあるのです。

遅筋は持続的にエネルギーを生産
筋肉を活動させるにはエネルギーが必要になります。遅筋は、酸素を用いて脂質などを持続的に分解してエネルギーを生産する能力が高い筋線維。そうした機能を持つタンパク質が多いために赤い色をしています。
一方、速筋は低酸素状態でもエネルギーを作れる筋線維。遅筋に多いタンパク質が少ないため、白く見えます。とはいえ、速筋のエネルギー生産に限りがあるため、持久力に乏しいというわけです。
遅筋と速筋の違いでよく引き合いに出されるのがマグロとヒラメ。回遊魚として泳ぎ続けるマグロは遅筋が多いため身が赤く、瞬間的に速い動きが中心のヒラメは速筋が多いために実が白いというわけです。
遅筋と速筋の性質を備えた中間筋
このような特性から、遅筋のおもな働きは姿勢を維持したり、関節を安定化したりすること。いわゆるインナーマッスルの働きです。一方の速筋はダイナミックな運動を実現します。まさにアウターマッスルの働きです。
とはいえ、人間の体内の筋肉を観察したとき、筋肉ごとに赤白がハッキリしているわけではありません。ほとんどの筋肉が多かれ少なかれ、遅筋と速筋の2つの働きを担っているのです。
そして、この遅筋と速筋の両方の性質を備えて中間筋も存在しています。スピードも持久力も備えたオールマイティな筋線維で、赤筋に多いタンパク質もほどよくあるためピンク色。すべてが遅筋と速筋に分けられるわけではないのでした。
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