便移植は潰瘍性大腸炎に高い治癒効果を発揮する
便移植とは、他人の便、具体的には腸内細菌を腸内に入れる治療法です。便移植は2013年に腸炎の治療に絶大な効果があるとオランダ・アムステルダム大学が発表。それにより、一気に世界から注目されはじめた最新医療です。潰瘍性大腸炎に対しても高い治癒効果が期待されています。
便移植による潰瘍性大腸炎の治療
便というと食べ物のカスというイメージですが、食べ物カスは3分の1程度。3分の1は古い腸粘膜などで、残りの3分の1は腸内細菌が占めています。便移植はそんな健康な人に含まれる腸内細菌を、患者の大腸に移植して定着させます。
潰瘍性大腸炎の患者は、腸内細菌のバランスが崩れていることが報告されています。この腸内細菌のバランスを正常な状態に戻してあげることで、潰瘍性大腸炎がよくなる可能性があるのです。
日本では2014年に臨床研究が始まったばかり。現在5か所の病院で実施されています。その1つが愛知県にある藤田保険衛生大学病院です。ここで便移植による潰瘍性大腸炎の治療が行われています。
便移植は上澄みの溶液を投与する
便移植のドナーは事前に、血液検査に胃カメラ、尿検査、大腸内視鏡、便検査、尿素呼気試験など受診。感染症やウイルス、腫瘍など病原菌まで患者に移植してしまわないよう、腸内の様子を多角的に検査します。
なかには、精神科の先生によるうつ病の診断などもあるのです。これらの検査で異常が見つかり、一からドナーを探しなおすケースもあるといいます。
また、腸内細菌は時間がたつにつれ、空気に触れて死滅してしまうため、便は移植を行う直前に採取する必要があります。使用する便はこぶし大の100g程度。生理食塩水を加えて専用の機械で攪拌します。この上澄みが腸内細菌がいっぱい入っている溶液。これを採取して、患者の腸へ投与するわけです。
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