歩くのが遅いことが認知症の初期症状となる理由
記憶力が徐々に低下し始めるのは30代から。50~60代になると記憶力が一気に下がるわけです。このため、若いからといっても油断は禁物。認知症の予防は、なるべく早期から始めることが重要になります。そして、認知症の初期症状を発見する目安として、歩くのが遅いことがあるのです。
歩くのが遅いと感じたら要注意
認知症の最新研究で判明したのが、ふだんの歩くスピードに変化がおこると認知症の発症リスクが大幅に上がるということ。横断歩道を青信号で渡るのが難しくなってきたなど、歩くのが遅いと感じたら要注意です。
最新の研究では歩くスピードが遅いと認知症のリスクが1.77倍になるということがわかりました。これはアメリカのアルベルト・アインシュタイン医学校で、およそ27,000人の歩行データを元に、歩行速度と認知症の関係を調査したものです。
体を動かすときには脳の運動野という部分から、速く歩けなどという指令が出てきます。それが神経細胞から神経細胞へと伝達され、最終的には手足の神経に伝わることで、私たちは速く歩くことができるわけです。
歩くのが遅いかどうかの目安
しかし、その途中にある神経細胞が死滅したり壊れたりすると、うまく情報が伝わりません。こうした脳の神経細胞の死滅が、認知症の発症につながるわけです。実際、アルツハイマー型認知症患者の脳の画像を見てみると、神経細胞が死滅して脳室といわれるすき間ができていることがよくわかります。
認知症のリスクが高まる歩行スピードは、海外のさまざまな研究を見合わせると、だいたい秒速90cmを下回ると危険といえるでしょう。そして、歩くのが遅いかどうかの目安となるのが、横断歩道を青信号のまま渡り切るスピードになります。
これは、全国の横断歩道は秒速100cmで渡り切れるくらいに設定されているからです。歩くのが遅いために同年代の人に追い抜かれるのも、軽度の認知障害かどうかの目安になります。足腰にとくに原因がないのに年々、歩くのが遅くなるのは典型的な認知症のサインです。
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