食後に横になるとき「右を下」にするのはNG
食後すぐに横になると、よく「牛になる」と注意された経験があるはず。ただし最近では、消化のために食後横になることは悪いことではないのが常識です。ただし「右を下」にして横になるのはNG。食後に横になるとしたら「左を下」にしたほうが胸焼けになりにくいのです。
食後「右を下」で横になると逆流
街頭でインタビューをしてみると、7割の人が食後に横になる向きは「右を下」にしたほうがよいと答えていました。よく見る胃のイラストは左上から右下に向かっている形ですから、たしかに食後に横になるなら「右を下」にするとよいイメージがあります。
しかし、それは大きな誤解です。食後に横になるときに「右を下」にすると、食べ物が逆流してしまいます。食後は「左を下」にして横になるのが正解なのです。
たしかに胃というのは、左上から右下に「そら豆」のような形をしています。しかし、口から入った食べ物が溜まるのは、胃の右下ではなく左上の部分。胃の上部に食べ物などは滞留しているのです。
食後横になるときには「左を下」
胃の上部に滞留した食べ物は、少しずつ下に向かって移動しながら消化されていくのが胃の消化プロセス。食後すぐに横になるときは、ほとんどの食べ物は胃の上部に滞留したままなのです。
実際にバリウムで実験してみると「右を下」にして横になると、バリウムは食道に逆流。首のところまで上がってきていました。ところが「左を下」にして横になると、胃の中のバリウムはまったく動いていません。
これは胃の左上に食べ物が溜まる構造だからです。「右を下」にすると食道のほうが下になるため、ものが逆流してしまいます。一方「左を下」にすると食道のほうが上になるため、ものが逆流しません。これが食後横になるときには「左を下」にしたほうが胸焼けしない理由です。
食後横になることはとても大切
なお、食後横になること自体はとても大切です。じつは食後すぐに運動すると消化器官に悪影響を与えます。というのも、消化器官は両端が止まってる構造になっているからです。
食後は消化器官にずっしりと食べ物が滞留します。すると、両端からぶら下がった不安定な状態になってしまうのです。犬などは満腹のときに散歩させると、胃捻転などになることもあります。
人間も食後すぐの運動は、消化器官で縄跳びをするようなもの。未消化の食べ物が腸に下りるなど、非常によくありません。食後横になることで、消化もスムーズに行われるのです。
食後に横にならずに軽めの運動
食後に横になることは大切ですが、一方で食後に行う軽めの運動はインスリン分泌を抑えてくれます。インスリン分泌が抑えられるということは肥満を防げるということ。しかも、インスリンを分泌する膵臓の疲労も抑制できます。
食後に横にならずに運動するといっても、激しい運動である必要はまったくありません。その場での足踏みや階段の上り下りといった軽い運動でも、血糖値を下げる効果が十分にあります。
具体的には、朝食後に近所をブラブラ散歩をしたり、昼食後にエレベーターを使わずに階段を利用したり、夕食後は一駅分歩いたりするだけで十分に効果的。こうした工夫で食後に横にならずに軽く動くことで、肥満を防ぐことができるのです。
食後の胃もたれは右を下で横になる
なお、食後に胃もたれしている場合は「右を下」にして横になると楽になります。胃もたれの多くは、胃の運動機能が低下して食べ物がきちんと消化されず、胃の中に留まることでおこるものです。
すなわち、消化されたものがなかなか腸へ流れていかない状態ということ。ここで「右を下」にして横になると、溜まった消化物が胃から出やすくなって食後の胃もたれが解消するというわけです。
なお、食後の胃もたれ解消には意外にも炭酸水を飲むことも効果的。炭酸水を飲むと、胃の粘膜が刺激されて血流が増加するからです。胃の働きが活発になるため、胃もたれの症状が改善します。
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