速く走るコツは筋力アップさせる以外にない理由
一般的に、筋肉をつけると速度が落ちると思われがち。しかし、それはまったくの誤解。速度は筋力アップによって上がるもの。さらにいえば、速く走るコツは筋力アップ以外にはないのです。筋力をアップすることで速度が早くなる理由を詳しく見ていきましょう。
トレーニングで変えられるのは筋力
スポーツ科学においては、筋力は筋肉の断面積に比例して、速度は筋長に比例することがわかっています。筋肉は太いほど強く、筋肉が長いほど筋肉の収縮速度は大きくなるということです。
スポーツのパフォーマンスにおいては、筋力だけ強くても速度だけ速くてもNG。筋力と速度の両方の要素が必要になります。なぜなら、パワーというのは「筋力×速度」で導かれるものだからです。
しかし、成人である以上、骨の長さや筋肉の長さを変えることは不可能。そして、トレーニングで変えられるのは筋力しかありません。筋肉の断面積を増やして太くするしか、パワーアップする方法はないということです。
いわば下り坂を速く走るイメージ
じつは、筋力アップは速度にも影響を与えます。最大努力でパワーを発揮したときの、速度と筋力の関係を考えてみましょう。負荷が小さければ小さいほど、速度は速く筋力は弱くなります。いわば下り坂を速く走るイメージでしょうか。負荷がゼロのときが最大速度となり、そのとき筋力もゼロです。
逆に負荷が大きければ大きいほど、筋力は強くなり速度は遅くなります。上り坂を走っているイメージです。そして、速度がゼロのとき筋力は最大ということ。アイソメトリックで止まっている状態です。
この速度と筋力の関係を縦軸を速度、横軸を筋力としたグラフにすると、反比例の曲線になります。必要な筋力が弱ければ速度が速く、必要な筋力が強ければ速度が遅くなることを示したグラフです。
速く走るコツは筋力アップにしかない
ここで、速度は筋肉の長さによるためトレーニングでは変えられません。一方の筋力は断面積によるため、太くなれば強くすることができます。グラフでいうと、縦軸方向にずらすことはできませんが、横軸方向にはずらせるということです。
ここでもし筋力アップして、グラフを横軸方向にずらしたとします。このとき、ある負荷における速度をずらす前後で比べてみるのです。すると、ずらした後のほうが速度が上になるのがわかるでしょう。
すなわち、筋力が上がれば速度も上がるということ。速く走るコツは筋力アップにしかないというのは、これが理由です。
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