LSDトレーニングで持久力がアップする理由
持久力をアップさせるLSDトレーニングは、誰かと話しながらできるような軽いウォーキングが基本。これで肺の機能が高まるとともに、血液の組成が改善します。それには最大心拍数の60%ほどの心拍数が効果的。LSDトレーニングの考え方と具体的な方法を紹介しましょう。
LSDトレーニングで持久力をアップ
全身持久力をアップする有酸素トレーニングは、おもな改善領域によって2つに分けて考えられます。1つは血液を全身に運ぶ力を上げるトレーニング。心臓や血管の構造や機能を、強く柔軟に改善していくものです。もう1つは肺の機能を高め、血液の組成を改善するトレーニングです。
肺の機能を高めて血液の組成を改善するトレーニングは「LSDトレーニング」と呼ばれます。LSDは「Long Slow Distance」の略で、長く・ゆっくり・距離のあるトレーニングという意味。その代表的なものが、ウォーキングや軽いジョギングです。
誰かと話しながらできるような、軽めの運動を長く続けます。ゆっくり泳ぐのもよいでしょう。こうした運動によって血液の循環がよくなり、毛細血管も発達。血液の組成も改善してきます。
LSDトレーニングの最大心拍数とは
人間の体は、肺の毛細血管で酸素と二酸化炭素がガス交換されることで酸素を得るシステムです。また、細胞レベルで酸素を組織に供給しているため、毛細血管が体の隅々まで張り巡らされればされるほど、酸素を多く受け取ることができます。
スポーツ選手がこのLSDトレーニングを行う場合、最大心拍数の80%くらいが目安です。一般人が健康のためにLSDトレーニングを行う場合は、最大心拍数の60%ほどの心拍数でやるとよいでしょう。
一般的には「最大心拍数=220-年齢」とされています。さらに、最大心拍数の60%というのは「(最大心拍数-安静時心拍数)×0.6+安静時心拍数」で算出。安静時心拍数というのは、目覚め時に起き上がらないでいるときの心拍数です。
LSDトレーニングは初心者に効果
一般人が持久力を高めるならためにLSDトレーニングを行うなら、ペースとしては1kmあたり7~8分くらいでしょう。LSDトレーニングは、最初から最後まで同じペースをキープして、心肺能力や脚力といった全身持久力をアップします。
LSDトレーニングは、初心者であれば1~2時間ほど続けることが高い効果が得られるといわれています。ゆっくりしたペースで長い時間、長い距離を走ることがLSDトレーニングのポイントです。
なお、LSDトレーニングを1人で行っていると後半がダレてしまいがち。そういった場合は、いったんLSDトレーニングをストップします。ふだん10km走っているなら、2km走を5回繰り返す方法に切り替えるとよいでしょう。
乳酸値を測定してLSDトレーニング
ちなみに、アスリートが行うLSDトレーニングは、心拍数を目安にするのではなく、乳酸値の面から見ようという方向に進化しています。筋肉を激しく動かすと生み出されるのが乳酸。この乳酸の血中濃度から、運動強度を見ようとしているのです。
激しい運動をすれば、血中の乳酸値が上がります。乳酸は酸素が供給されるとエネルギー源になりますが、酸素が足りなくなると乳酸が居残ってしまい血液が酸性に…。だんだんからだの動きが鈍くなります。
LSDトレーニングは、発生した乳酸に酸素を供給することで、乳酸を除去しながら運動を続けられるレベルの強度が最適。アスリートは乳酸値を測定しながら、最適な強度でLSDトレーニングを行っているのです。
LSDトレーニングばかりは考えもの
ただし、長い距離を走ることができるからと、マラソンなどの練習にLSDトレーニングばかり取り入れるのは考えものです。マラソンは走行距離に応じてレベルが上がるわけではありません。距離が伸びれば伸びるほど、体に溜まるストレスも増えていきます。
走力の向上をともなわない練習で距離を稼ぐことに夢中になると、怪我をする恐れもあります。大事なのは走行距離ではなく、あくまで練習の中身です。
つまり、LSDトレーニングでレースペースよりずっと遅い速度で何km走っても、実践的な走力は高まりません。LSDトレーニングは少し減らして、インターバルトレーニングなどを取り入れたいところです。
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