そもそも内臓脂肪が増えることがなぜ悪いのか?
メタボリックシンドロームとは内臓脂肪症候群のこと。メタボリックシンドロームがありがたくないものとして定着するにつれ、内臓脂肪もすっかり悪者扱いとなっています。とはいえ、体脂肪はもともと人間の生存に欠かせない重要なエネルギー源。内臓脂肪が増えることはなぜ悪いことなのでしょうか?
内臓脂肪は非常用燃料タンク
人間が活動するエネルギーはおもに体内の「糖質・タンパク質・脂肪」に蓄えられています。ここで体内に蓄えられている糖質は200g程度、タンパク質は6,000gほど。一方の脂肪は、15~20kgも蓄積されているのです。
糖質は日々の活動のエネルギーとして消費され、それを食事のたびに補給。タンパク質も多くのエネルギーを含んでいますが、筋肉など重要な構成成分のため緊急時にしか使われません。すなわち、脂肪は重要なエネルギー源なのです。
そんな脂肪が蓄えられるのは、まず皮下脂肪。皮下脂肪でまかないきれなくなると、内臓脂肪として蓄積されます。いわば皮下脂肪はクルマの燃料タンクのようなもの。一方の内臓脂肪は、トランクに積まれる非常用燃料タンクのようなものなのです。
内臓脂肪の増加と生活習慣病
そして、燃料タンクが満タンなため、非常用燃料タンクがどんどん増えてしまっているのがメタボリックシンドローム。あり余るエネルギーが常設タンクに収まらずに非常用タンクを増やし続けていると聞けば、その異常さがわかるかもしれません。
内臓脂肪は遊離脂肪酸となって、腹腔内の血管を通って肝臓に取り込まれます。内臓脂肪が増えると肝臓に取り込まれる遊離脂肪酸も増加。肝臓で作られる極低比重リポ蛋白も増加します。血液中の脂肪分がアップして「高脂血症」を招きます。
また、肝臓に取り込まれる遊離脂肪酸が増えると、肝臓のインスリン取り込みが悪化。血液流に流れ込むインスリンが多くなって、高インスリン血症になります。これが「高血圧」と「糖代謝の悪化」を招くのです。
そして、高脂血症は脂肪肝、高血圧は心臓病や脳卒中、糖代謝の悪化は糖尿病の原因となります。これが内臓脂肪が増えることが、生活習慣病につながる理由です。
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