らっきょうの栄養に腸の乳酸菌を爆増させる働き
らっきょうは茎を根元から切ると、たった数時間で芽が伸びてしまうほど生命力が強い野菜。らっきょうの生命力の秘密は、大量に含まれている栄養分「フルクタン」にあります。そして、このフルクタンには腸の乳酸菌を爆増してくれる働きがあるため、らっきょうの栄養には便秘解消の効果も期待できるのです。
らっきょうの栄養分であるフルクタン
フルクタンたっぷりのらっきょうの絞り汁を糖度計で測定すると「32度」という数値が出ました。イチゴが10度、メロンが15度です。じつはらっきょうは、メロンの2倍以上の糖度を持っていることになります。
しかし、フルクタンを実際になめてみると、甘さはほとんど感じません。かすかに甘い程度で、意識しないと感じないほどです。
じつは甘さというのは、舌の上にあるセンサーに糖が乗って初めて感じるもの。しかし、糖がたくさん連なった多糖類であるフルクタンの場合、舌のセンサーに引っかからないため、甘みを感じにくいのです。
そして、らっきょうの栄養分であるフルクタンには、ほのかな甘みとは別にとてもうれしい働きがあります。そのための実験を紹介しましょう。
らっきょうは古くから栄養豊富な食材
シャーレにフルクタンを入れた液体と入れない液体を作って入れます。このシャーレに入った液体の表面に、人間の腸の中で生きている乳酸菌を塗布。これを培養したところ、フルクタン入りの液体は乳酸菌が増えていました。
腸の中の乳酸菌にとってフルクタンは大好物。乳酸菌が爆増するのです。このため、らっきょうには便秘解消の効果もあります。実際、らっきょう農家の人も「食べるとストーンと出る」と証言するほどです。ただし、らっきょうの栄養には胃腸を刺激する成分が多いため、食べ過ぎるとお腹がゆるくなる場合があります。
なお、らっきょうは古くから漢方薬の主成分として用いられてきたほど栄養豊富な食材。とくに、らっきょう特有の臭いのもとである「硫化アリル」という成分は、これはビタミンB1の吸収を助け、疲労回復や滋養強壮に効果があります。
硫化アリルには免疫力を高め、がんの予防にも効果があるとか。さらに血行促進により、冷え性や動脈効果、血栓の予防にも効果的とされています。
らっきょうの栄養を損なわない食べ方
ただし、らっきょうの栄養成分である硫化アリルは熱に弱いという特徴があります。その意味で、らっきょうを酢漬けで食べるのは栄養的に理にかなっているといえるでしょう。
らっきょうの栄養を損なわない食べ方としては、生もオススメです。じつは「エシャロット」はらっきょうを早採りしたもの。らっきょうの酢漬けはダメでも、エシャロットは大丈夫という人も多いでしょう。
らっきょうの特産地である鹿児島では、らっきょうは生で食べるのが常識だとか。鹿児島伝統の一品「らっきょうの酢味噌あえ」は、生のらっきょうを刻んで酢味噌であえるだけです。