超回復によってできなかった動作が可能になる
子どものころ、初めは乗れなかった自転車が練習を重ねて乗れるようになった経験は誰にでもあるもの。じつはこうした体の動きにも超回復が関係しています。それが脳の超回復です。筋肉の超回復には負荷が必要ですが、脳の超回復には何が必要なのでしょうか?
超回復は内部モデルが完成すること
慣れない動作は最初はとても苦労しますが、次第に何も意識せずにこなせるようになります。これは神経のネットワークがうまく連動しているからです。
神経ネットワークは小脳と大脳基底核の間で、一つ一つの技の記憶がつながって成立します。これを脳科学の分野では「内部モデルが完成する」と呼ぶのです。すべての運動動作は、この内部モデルによって可能になります。そして、これこそが脳の超回復ともいうべき現象です。
生まれて初めて自転車に乗ると、たいていはバランスがとれずに転んでしまうもの。そこで脳はこの動きではダメだと学習し、転ばないための力の入れ具合や筋肉の使い方などを小脳にフィードバックします。
超回復には失敗動作が必要不可欠
そして、次に乗るときは過去の失敗経験に基づいて、この動きなら転ばないかと予測して、制御しながら動作を開始。これはフィードフォワードと呼ばれます。脳はフィードバックとフィードフォワードを繰り返すことで、内部モデルの精度を高めているのです。
内部モデルの精度を高めて超回復するためには、その前の失敗動作があるからこそ。それがフィードバックとフィードフォワードを生み出し、結果的に内部モデルが完成するというわけです。
逆にいえば、筋肉の超回復のための負荷と同じように、脳の超回復のためには失敗動作が必要不可欠。あきらめない気持ちも大切です。何度失敗してもあきらめずにトライするからこそ、脳の超回復がおこるのでした。
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